何かを「運ぶ」役割をするたんぱく質のことを「輸送たんぱく質」といっています。たとえば酸素を運搬するのはヘモグロビンというたんぱく質です。呼吸により吸収された酸素は血液中を通って各組織の細胞に輸送されます。しかし血液に溶け込んだ酸素ガスの拡散だけでは体の隅々まで効率よく酸素を運ぶことはできません。そこで酸素はヘモグロビンと結合して血流に乗って各細胞に運ばれます。

ヘモグロビンは赤血球の内部に大量に存在し、ヘム鉄分子を利用して酸素を運ぶことで有名なたんぱく質です。血液中には「アルブミン」と呼ばれるたんぱく質がたくさん浮かんでいます。正確には血清アルブミンというたんぱく質であり、水に溶けにくい脂質などの分子を結合することで水に溶けやすくし、血液中を輸送しています。

また、アポリポたんぱく質というたんぱく質は、LDL(俗にいう悪玉コレステロール)、HDL(俗にいう善玉コレステロール)などの「リポたんぱく質」の主要な成分であって、これも、コレステロールや中性脂肪などを臓器から各組織に運んだり、各組織から肝臓へ戻したりする役割を担っています。また、何かを「蓄える」ために存在するたんぱく質もあります。そうしたたんぱく質のことを総称して「貯蔵たんぱく質」と呼んでいます。

たんぱく質という名前の語源ともなった、卵白アルブミン(オボアルブミン)も、栄養源として卵白中に蓄えられているものですから、貯蔵たんぱく質のひとつです。また、細胞の中で鉄イオンを貯蔵するために存在するフェリチン、ヘモシデリンなども貯蔵たんぱく質の一種です。