たんぱく質は定められた特定の仕事をするように遺伝子の設計図にしたがって生産され、不要になれば直ちに破壊し破棄される、いわば使い捨ての単なる労働分子です。その設計図はゲノム上の構造遺伝子と呼ばれ場所に記録されています。その内容は20種類のアミノ酸を使い分けて約100から1000個を連結する順序です。

この情報だけでたんぱく質の複雑な立体構造が自然にできあがるという仕組みになっています。たんぱく質はそれぞれ個別の機能があり、さまざまな目的に利用できます。したがってそれらを多量に入手することが必要になります。生体から目的たんぱく質を直接単離するやり方が古くからありましたが、この方法だと微量のたんぱく質などを抽出することは容易ではありません。

むしろたんぱく質をコードとしている遺伝子を取り出して加工し、培養が簡単な菌類を代理母として利用する方が、生産効率が飛躍的に高くなります。最近では試験管内でもたんぱく質の量産が可能になっています。また構造遺伝子の一部を改変することによって目的に合ったたんぱく質をデザインし、それを製造する応用研究も行われています。これがたんぱく質工学です。

この場合どのように改変すればよいかが最大の問題となり、その方法については生物に学ぶことが多いため、基礎研究が行われています。基本的にはDNAからたんぱく質を作り出すための実働部隊のRNA、それからポリペプチドの流れでたんぱく質は作られていきます。