よく、「食べてすぐ寝るとウシになる」などといわれます。もちろん教育の一環として古くから用いられてきた戒めなのでほんとうにウシになるわけではありません。それでも小さいころ、牛肉を食べてもどうしてウシにならないか、子ども心に不思議に思った経験をもつ人も多いのではないでしょうか。

牛肉を食べてもウシにならないのはウシもヒトも生物共通の同じ材料からできているからであり、牛肉も消化されれば、ウシもヒトも同じ、生物共通の材料まで細かくなってしまうので、その時点でウシだったときの記憶は感背に失われているのです。だからこそ、ウシを食べてもウシになることはありません。

そして、不思議に思うといえば、私たちはどうしてご飯を食べる必要があるのでしょうか。なぜ、苦しい思いをして働いたお金で肉を買い、食卓に並べるのでしょうか。そこにどのような意味があるの答えはすこぶる簡単です。私たちの体も牛肉と同じたんぱく質でできているからです。

たんぱく質には寿命があるため、どんどん失われていくたんぱく質をあとからあとから補給していかなくてはいけません。私たち生物の細胞は、植物と動物で多少異なりますが70%は水でできています。動物の細胞では、この水を除いた残りの成分のうち、最も多いものがたんぱく質で、動物細胞全体の15%を占めているのです。私たち人間の消化器官は、口から入ってくる牛肉に含まれるたんぱく質を消化し、もっと小さな物質にまで細かくする役割があります。

その細かくされた小さな物質が「アミノ酸」なのです。アミノ酸については他で改めて説明します。